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デザイン no.64
美術出版社『デザイン』誌1964年10月号。この年の表紙デザインはすべて杉浦康平が担当し、精緻なジオメトリックパターンのバリエーションが展開されています。
“当時の僕は、とても構成主義的な、あるいはある種の数理的な秩序をもつデザイン、スイスやドイツでは「カルテ・クンスト」と呼ばれる――「プログラミング・アート」と訳されていますが――それに似たデザインをしていたんです。(中略)写真植字機という、当時の僕らにとっては革命的な文字組みのシステムがデザインの分野にも定着しかけていた。その地紋のパターンを取りあげて、レンズによって拡大したり縮小したりしながら、マトリックスを並べて作ったものですね。手で描くということを一切せず、マトリックスの上に大きさの指定を数字で書くだけで、写植で打ち上げたデザインです。この当時にはこうした指定の仕方、手を使わないデザインをする人はほかにいなかったと思います。”
――『グラフィックデザイナーの肖像』所収 杉浦康平インタビュー(2004)より
目次
- 特集:1964日宣美展
- アカデミア・メランコリア 梶祐輔
- 爛熟の果てで 日向あき子
- 日宣美展を充実させるために 亀倉雄策
- イラストレーションへの課題 栗谷川健一
- めだつ技巧の空転と思想性の貧困 永井一正
- 日宣美展とその断片的な分析 田中一光
- 日宣美展をめぐって 原弘
- マサチューセッツ工科大学, ボストン 田中正明
- 終戦前後 <デザイナー三面鏡> 伊藤憲治
ほか
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